内戦が続くミャンマーで、国軍が徴兵制の導入を発表してから今月で1年が経った。抵抗勢力との内戦で減る兵力を補う狙いだが、国軍の劣勢は変わらず。徴兵への不安は若者や家族の暮らしを翻弄(ほんろう)している。
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最大都市ヤンゴンに住むエイさん(49)は昨年10月、義理の息子(20)を国軍に徴兵された。息子は実母が病気を患い、金が必要だった。自らの意思で徴兵に応じ、代わりに250万チャット(公定レートで約18万円)を受け取った。
息子の妻でエイさんの長女(24)は子ども2人を抱え、仕事がない。ミャンマーでは2021年の国軍のクーデター後に政情が悪化し、食料価格は3~4倍に高騰。家政婦として働くエイさんには長女や孫を養えるほどの稼ぎはない。息子は3カ月間の訓練を終える頃で、戦いの前線に送られるとみられる。「私にできることはなく、無力感を感じる」
義理の息子が徴兵されたというエイさん。取材を続けていくと「実は、夫も国軍に奪われた」と語り始めました。家族に何があったのか。後段で明かされます。
徴兵逃れに賄賂も 金ほしさに「身代わり」
国軍が2年間の兵役を課す徴兵制の導入を発表したのは昨年2月。男性は18~35歳、女性は18~27歳を対象とし、医師など専門職の人は年齢の上限が引き上げられ、兵役も3年間になる。男性の徴兵が先に始まり、すでに約5万人に上るとみられる。
背景にあるのが兵力不足だ…